引継書とは
引継書は、異動・退職・産休などで担当業務を他の人に引き継ぐ際に、業務内容や注意点をまとめた書類です。後任者がスムーズに業務を開始できるよう、必要な情報を網羅的に記載します。
引継ぎが不十分だと、業務の停滞、ミスの発生、顧客への迷惑など、組織に大きな影響を与えます。引継書は「自分がいなくなっても業務が回る」状態を作るための重要なツールです。
引継書の作成は、自分自身の業務を棚卸しする良い機会でもあります。日頃から引継ぎを意識した業務整理を心がけましょう。
こんな時に使います
人事異動・部署移動
定期異動や組織変更で担当業務が変わる際に、後任者へ業務を引き継ぐために作成します。
退職時
退職に伴い、担当していた全業務を後任者や同僚に引き継ぐ際に使用します。最も網羅的な引継書が求められます。
産休・育休・長期休暇前
長期間不在になる前に、代理担当者へ業務を引き継ぎます。復帰後の再引継ぎも想定して作成します。
プロジェクトの担当者変更
プロジェクトの途中で担当者が変わる場合、これまでの経緯や現在の状況を引き継ぎます。
業務の標準化・マニュアル化
特定の人しかできない業務を標準化するために、引継書の形で業務手順を文書化することもあります。
書き方のポイント
業務の全体像から書き始める
いきなり細かい手順を書くのではなく、まず担当業務の全体像(何のための業務か、関係者は誰か)を示します。後任者が「自分が何をすべきか」を俯瞰できるようにしましょう。
定常業務と非定常業務を分ける
毎日・毎週・毎月行う定常業務と、不定期に発生する業務を分けて記載します。定常業務はスケジュール付きで書くとわかりやすくなります。
手順は具体的にステップで書く
「○○システムにログインし、△△画面で□□を入力する」のように、初めての人でも迷わないレベルで具体的に書きます。スクリーンショットがあるとさらに良いです。
関係者・連絡先を一覧にする
業務に関わる社内外の関係者と連絡先をリスト化します。「困った時に誰に聞けばいいか」がわかることが重要です。
注意点・過去のトラブル事例を記載
「ここを間違えやすい」「過去にこんなトラブルがあった」という情報は、後任者にとって非常に価値があります。失敗を繰り返さないための知恵を伝えましょう。
ファイルの保管場所を明記
関連するファイル、フォルダ、システムのアクセス方法を明記します。「あのファイルどこ?」と探す時間を後任者に使わせないようにしましょう。
記入例
営業事務の引継ぎ
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 作成日 | 2025年1月15日 |
| 引継者 | 営業部 鈴木美咲 |
| 後任者 | 営業部 高橋由美 |
| 引継期間 | 2025年1月20日〜31日 |
| 業務概要 | 営業部の受注処理・請求書発行・売上管理を担当。月間処理件数は約200件。 |
| 定常業務 | ・毎日:受注メール確認→受注システム入力→出荷指示 ・毎週金曜:週次売上レポート作成→部長へ提出 ・毎月5日:前月分請求書一括発行→郵送 |
| 注意点 | ・A社は締日が20日(他社は末日)・B社は請求書をPDFメール送付(郵送不要)・受注システムは毎月1日AM2:00にメンテナンスあり |
| 関係者 | ・受注システム問い合わせ:情報システム部 木村(内線1234)・請求関連:経理部 中村(内線2345)・A社担当営業:山田 |
よくある質問
Q. 引継ぎにどれくらいの期間が必要?
業務の複雑さによりますが、最低でも1〜2週間は並走期間を設けるのが理想です。月次業務がある場合は、1ヶ月間の並走が望ましいです。
Q. 後任者が決まっていない場合は?
後任者が未定でも引継書は作成しておきましょう。上司や同僚に共有しておけば、急な事態にも対応できます。
Q. 口頭での引継ぎだけではダメ?
口頭だけでは記憶に頼ることになり、抜け漏れが発生します。必ず文書化し、後から参照できる状態にしておきましょう。口頭説明は文書の補足として行います。
Q. 引継書はどこまで詳しく書く?
「自分が1週間休んでも、この書類を見れば誰でも業務を回せる」レベルが目安です。後任者の経験レベルに合わせて、詳しさを調整しましょう。